広告と導線を、同時に考えるということ

広告と導線を、同時に考えるということのアイキャッチ画像 EC・デジタル活用

ECの運営に慣れてくると、
次に任されやすいのが広告です。

アクセス数、CV率、ROAS。
数字は以前より見えるようになり、
管理画面を触る時間も自然と増えていく。

一方で、
「回しているのに、伸びている実感がない」
「広告費だけが増えている気がする」
そんな違和感も、同時に積み重なっていきます。

広告を触っているはずなのに、手応えがない。
その感覚は、決して珍しいものではありません。

広告は「集客装置」ではなく「拡張装置」

最初に整理しておきたいのは、
広告の役割です。

広告は、
ゼロから売上を生み出す魔法ではありません。

すでにある導線やページの完成度を、
少しだけ拡張する装置

それが広告の実態に近いと感じています。

検索結果で見つけてもらえない商品。
SNSから来ても、どこを見ればいいかわからないページ。
商品ページに入っても、不安が残る構成。

そうした状態のまま広告を強めても、
数字は一時的に動くだけで、
やがて頭打ちになります。

広告が悪いというより、
広告を受け止める側の準備が整っていない
そのケースが多いように見えます。

広告運用で見落としがちな前提

楽天市場では、
検索結果に連動して表示される代表的な広告として
RPP(検索連動型)広告があります。

運営に慣れてくると、
まずこのRPP広告の設定や入札単価を任されることも多いかもしれません。

RPP広告をはじめとした広告運用は、
設定や入札単価に意識が向きやすい分、
前提の整理が後回しになりがちです。

けれど、広告の設定そのものを調整する前に、
そもそも「何を、どんな状態で届けているのか」を
見直す時間は、意外と取られにくいものです。

たとえば、

・この商品は、どんな理由で選ばれているのか
・初見の人が見て、不安になりやすい点はどこか
・比較されたとき、何が違いとして伝わるのか

こうした問いは、
広告設定の画面からは見えてきません。

広告運用は、商品理解とページ理解の延長線上にある。
この感覚を持てるかどうかで、
見え方が大きく変わってきます。

「広告を止める判断」も運用の一部

広告に慣れてくると、
「止めるのが怖い」という感覚も出てきます。

止めたら数字が落ちる。
上司や周囲に説明がしづらい。
判断を先送りにして、微調整だけを続けてしまう。

ただ、
一度広告を止めて、ページや導線を見直す時間
これは、遠回りに見えて重要な工程です。

広告がない状態で、
自然流入や内部回遊がどれくらい機能しているか。
どこで離脱が起きているか。

広告を止めることで、
初めて見えてくる景色もあります。

導線改善は「正解探し」ではない

導線改善という言葉は、
どこか難しく聞こえがちです。

ですが、実際にやっていることは
とても地味です。

・リンクが多すぎないか
・次に見るべきページが分かるか
・戻らなくても完結できるか

ユーザーが迷いにくい状態をつくる。
それだけの話でもあります。

成功事例をそのまま当てはめるより、
「自分の店舗では、どこで止まっているか」
そこを落ち着いて観察する方が、
結果的に近道になることも多いです。

SNSと広告を分けて考えすぎない

SNSと広告は、
別物として扱われがちです。

けれど、
ユーザーから見れば、
どちらも「流れの途中」 にすぎません。

SNSで興味を持ち、
検索し、
広告経由で商品ページに入る。

その逆もあります。

大切なのは、
どこから来ても、
同じ温度感で受け止められるか
という点です。

広告だけ整っていても、
SNS側が置き去りだと、
流れは途中で切れてしまいます。

数字が伸びないときに、見る順番

アクセスが伸びない。
CV率が上がらない。

そんなとき、
いきなり広告設定をいじる前に、
見る順番があります。

  1. 商品ページは、初見で理解できるか
  2. 比較・不安・疑問への答えはあるか
  3. 次の行動が、迷わず選べるか

この順番を飛ばしてしまうと、
広告だけが先行して疲弊します。

広告は最後に触る工程。
そう考えると、
焦りが少し和らぐこともあります。

広告運用に疲れたときの視点

広告を任され始めた頃は、
責任と期待が一気に増えます。

数字が動く分、
評価もされやすい。

だからこそ、
結果が出ない時期は、
必要以上に自分を責めてしまいがちです。

ただ、
広告運用は短距離走ではありません。

ページ、導線、商品理解。
それらが少しずつ整って、
初めて安定してきます。

伸びない時期は、
何かが足りないサインであって、
失敗の証明ではない。

そう捉え直すだけでも、
視界は少し静かになります。

おわりに

広告、SNS、導線改善。
どれも即効性があるように見えて、
実際は積み重ねの領域です。

一気に変えなくていい。
全部を理解しなくてもいい。

今日の運営を、少しだけ整理する。
その延長線上に、
安定した数字が残っていきます。

この文章が、
次に管理画面を開くときの
呼吸を、ほんの少し整えるものになれば幸いです。