最近読んで印象に残った一冊 ──選びきれていなかった、という気づき

最近読んで印象に残った一冊 ──選びきれていなかった、という気づきのアイキャッチ画像 学びの記録

忙しさの中で、立ち止まる感覚

仕事が忙しい状態が続くと、
「忙しいこと」そのものが、いつの間にか前提になります。

やることが多い。
判断が多い。
対応が途切れない。

それ自体に疑問を持たなくなり、
ただ、こなしていくしかないものとして受け取ってしまう。

僕自身も、長いあいだそうでした。
業務量が減ったわけではありませんが、生成AIを取り入れたことで、
一部の作業は確かに軽くなりました。

それでも、忙しさの質はあまり変わっていない。
むしろ、「余った時間に、さらに何かを足している」感覚すらありました。

その違和感を、うまく言葉にできずにいた頃、
手に取ったのが 、エッセンシャル思考 という一冊でした。
著者は、リーダーシップや意思決定の分野で知られるグレッグ・マキューン。
この本は2014年に刊行され、その後、日本を含む世界各国で読まれ続けてきました。

扱っているテーマは、とてもシンプルです。
限られた時間やエネルギーの中で、
「すべてを頑張ろうとしない」という選択を、どう考えるか。

効率化の手法やタスク管理のテクニックを並べる本ではありません。
むしろ、何をやるかよりも、何をやらないかを決める思考に焦点が当てられています。

仕事の成果を最大化するために、
より多くを詰め込むのではなく、
本当に重要なこと以外を、意図的に削る。
そうした考え方が、淡々と、しかし一貫して語られていきます。

発売から時間が経った今も読み継がれているのは、
この本が特定の時代や職種に限られた話ではなく、
「忙しさ」を前提に生きている多くの人の感覚に、
静かに触れる内容だからなのだと思います。

「やることが多い」のではなかった

この本を読んで、最初に引っかかったのは、
「より少なく、しかしより良く」という考え方そのものではありません。

むしろ、
自分が“選んでいるつもりで、選べていなかった” という点でした。

忙しさの理由を、
業務量や環境、役割の重さに求めてきたけれど、
実際には、

・断らなかったこと
・保留にした判断
・曖昧な優先順位

そうした小さな積み重ねが、
日々の負荷を静かに膨らませていたのかもしれない。

この本は、効率化のテクニックを教えてくれる本ではありません。
むしろ、「何をやらないか」を決めるための視点を、
何度も、静かに差し出してきます。

全部を抱えようとしていた感覚

印象に残ったのは、
「重要でないことに、最高の努力を払っていないか」という問いでした。

仕事に真面目であろうとすると、
頼まれたことに応え、
抜け漏れなく、
誰かの期待を裏切らないように動こうとします。

その姿勢自体は、悪いものではないと思います。
ただ、気づかないうちに、

・本当に考えるべきこと
・集中すべき判断
・自分が担うべき役割

それらが、日常の細かな対応に埋もれていく。

僕の場合、
「全部ちゃんとやる」ことが、
無意識のうちに前提になっていました。

でも、この本を読み進める中で、
それは責任感というより、思考停止に近かったのではないか
と感じる瞬間がありました。

削ることは、逃げではない

この本が与えてくれたのは、
「削る勇気」や「断る強さ」といった分かりやすいメッセージではありません。

もっと静かな感覚でした。

削ることは、逃げではない。
断ることは、放棄ではない。

それは、
限られた時間とエネルギーを、
どこに使うかを選び直す行為なのかもしれない。

全部を頑張ろうとするより、
本当に向き合うべき一部に、きちんと力を残す。

その考え方は、
「頑張り続ける」ことに疲れていた自分にとって、
少し肩の力が抜けるものでした。

忙しさの正体を見直す

この本を読んだからといって、
働き方が劇的に変わったわけではありません。

タスクが急に減ったわけでも、
余裕が生まれたわけでもない。

ただ、
忙しさをそのまま受け入れる前に、
一度、立ち止まる視点が加わりました。

これは本当に、今やるべきことなのか。
これは、自分が引き受けるべき判断なのか。
これは、やらない選択をしてもいいのではないか。

そうした問いが、
頭の片隅に静かに残るようになった。

今の自分に響いた、という記録

この本が万人に合うかどうかは、分かりません。
タイミングによって、響き方も変わると思います。

ただ、
「忙しさは、外から与えられるものだけではない」
という気づきは、
今の自分には、確かに残りました。

全部をやろうとしなくていい。
選びきれないまま、抱え込まなくていい。

そう言われたような気がした、
という程度の、静かな読後感です。

記録として残しておく

この文章は、
誰かにおすすめするためのものではありません。

今の自分が、
何に引っかかり、
何を考え、
どんな整理が生まれたのか。

その過程を、
言葉として残しておきたかった。

また忙しさに飲み込まれたとき、
読み返して、
少し立ち止まるためのメモとして。

書籍について

・書籍名:『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』
・著者:グレッグ・マキューン

気になる方はこちらから確認できます。